まいう〜。とにかく、ニッポンがうまい!
野蛮な国アメリカから無事生還できた私は、一人ぽやぽやとグルメな毎日を満喫しております。
そんでもっていじわるな私は、ニューヨークで、格闘の日々を過ごしている友人に、「いや〜、近所の魚屋で買ってきた刺身の新鮮だったことー」とか「スーパーで見つけたケーキがまたとろけるようなおいしさでえー」と残酷な電話をしてしまうのです。
すると受話器の向こうで、生つばを飲み込んでいる音が。
「やだー、つくしちゃん。言わないでよー。帰りたくなっちゃうじゃないのよー。」と、お決まりの言葉。
そこで「はよ帰っておいで。」とにんまりする私。
こうして浦島花子は、あふれるグルメの海を、亀さんの背中にのってあっちふらふら、こっちふらふら・・・。
しかーし!
等の日本人たちは、そんな状況下にあっても、まだものたりないらしい。もっとうまいもの、もっとすごいものを!とうまいものを求めて日本国中、そして世界中に買い出しに行く。かくして日本人、総グルメ状態。デパ地下は高級食材にあふれ、街にはパパパ、パティシエ?だとかいうものが増殖し、スイーツなる聞き慣れないものが氾濫する。
こんなことがかつて日本という国の歴史上にあったか!?
江戸時代のお殿さんでも、『カステイラ』なんて年に数回ぐらいしかお目にかかれなかっただろうに、このご時世カステイラなんぞに誰も見向きもしない。そしてかつては『ワイン』などというしろものは、話しのネタぐらいにしかのぼらなかったであろうものが、今じゃあろうことか、そこらのねえちゃんたちもボージョレーだの、ブルゴーニュだのと、うんちくをたれたりする。 お殿様よりすごいうまいものを、私たち日本人のほとんどが、毎日食っているのだ。
これってすごいことじゃないの!?
私がニューヨークにいたときは、おいしいケーキなんてめったにお目にかかれなかった。ケーキ屋さんには、合成着色料たっぷりの、日越しでかちかちになった下品な味の、甘すぎて食えないスイーツ(これぞ、ほんとの)が並ぶ。勇気をふりしぼって注文すると、ケーキはまとめて、アルミホイルでくるんでくれる(!)。もちろん箱なし。うちに持って帰ると、デコレーションケーキは、どこにもデコレーションの面影なし。どっちがチョコレートケーキで、どっちがショートケーキだかわからなくなったかたまりを、ダンナと二人、フォークでつっつくむなしさ....。エーイ、腹に入ったらみんな同じじゃ、と自分に言い聞かせる。
最近のコマーシャルで「日本人は、うるさい」というのがある。ほんとに、うるさい。なんでも、うるさい。アメリカ人も、うるさい。でもそれは騒がしいの意。日本人のそれは、きむずかしい、になる。
うるさすぎて、極めすぎて、知らない間に世界一になっちゃった。不幸なことに、それに日本国民まだ気がついていない。口では経済大国っていいながら、心の中では今だに貧しい国だと思っている。テレビは毎日のように、「日本は遅れている、日本は遅れている」と念仏のようにとなえる。
ほんとにそうなの!?
毎日あふれるような世界中のモノが集まって、ありとあらゆる高級品に触れられて、それでもなおかつ貧しい国とお思いになるなら、きっとそれは心のほうが貧しいのでしょう。
ああ、お江戸のお殿様がこれを見たら、さぞかし嘆かれることでしょうねえ〜。
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