●『ニッポンジン、総お殿様状態』その2 ステナイデ6号掲載

さて、ひさしぶりの日本は、わたしにとって驚きの連続。8年という歳月は、これほどまでに日本人のライフスタイルを変えていくのか、へえええええ〜っと、「100へえ」ではすまないポイント数になって、日々更新しております。

とくに驚いたのは、お犬さま時代の到来。道を歩けば、ペットさまは下にも置かずという状態。へえ、お犬さまのさんぽとは、こういうものだったのかと知りました。かつては、犬をないがしろにしているのを見て、犬が不幸な国に、明るい未来はあるのかー!?なんて大きな疑問を抱いて母国を離れたわけでしたが、戻って来てみるとこのありさま。

このギャップはいったいなに!?

じつは、わたしも犬を飼っております。アメリカの里親センターでもらってきた、ホワイトシェパードの雑種。アメリカでは、うちの犬は中型犬くらいなのですが、日本に連れて帰ってみると、「でかい、でかい」とみなに連発される。それもそのはず、日本の最近の犬が、ちっこすぎるんだよー。また、こいつらがギャンギャン鳴く、さわぐ。それをみた飼い主は「あーら。○○ちゃん、だめよー」と口で言ってみるだけ。ちっとも命令していない。つまりまったくトレーニングされていない。犬が公の場でむだぼえしたら、その場で真剣に怒らんかい!まわりの人が犬のさわぐのを聞いてよろこんでるわけがないでしょ。

道をさんぽすれば、そのギャンギャン鳴きほざく犬に、うちの犬もあたまに来て「う〜」っと一言いっただけで、「まあ〜っ!なんて犬でしょう。うちの子は、遊びたがっているのに、『う〜』だなんて。」とくる。どうも大きい犬は『大人』で小さい犬は『子ども』という感覚らしい...。

もしもし?

犬にとっては、大きいも小さいもないんです。あなたの犬は遊びたがっているんじゃなくて、うちの犬にイカクをしてるんですよ。イ、カ、ク。最初にケンカ売ったのは、おたくの犬!わたしんちの犬はそれに答えただけ。

はっきりいって、日本人はちっこい犬に、好き勝手やらせすぎている。飼い方を見ていると、犬のほうが優位に立っている。犬の方もそれを知っていて人間を利用する。鳴けば「ハイハイ。なにがほしいの?」と答えてくれるからなのだ。騒げば,飼い主が「わかった。わかった。じゃああなたの好きにしなさい」と降参してくれるからなのだ。これは,完全に上下関係が逆転している。

わたしの場合は自分ちの犬が、鳴こうがわめこうが、いっさい取り合わなかった。それによってなにをしても無駄だと犬は悟る。だから鳴かないし、わめかない。命令をして言うことを聞かなかったら、その場でひっくり返して首根っこを押さえ込んで「ノー!」。26キロの犬をひっくり返すのはちょっとしなんのわざだけど、どっちがご主人かを徹底的に教え込むためには、このくらいしなければ。とくに大型犬を飼っている飼い主には、相当の覚悟と緊張感があるはずだ。

小さい犬は、一見かわいいようにみえるが、じつはかなり獰猛なのだ。なまじっか小さいから鷹をくくってしまうために、飼い方が甘くなる。そうして知らない間に主人より上にのし上がっていくのだ。ちまたで、主人を噛んだ犬のはなしをよく聞くのは,そういう理由がある。どんなにちっこくったって、犬はケモノだということを忘れないでね。

だから、おたくのわんちゃんが、飯台の上にあがってあなたのハンバーグをさらっていっちゃったときは、すかさずひっくり返して、首根っこをおさえ、「だめーっ!!!(出来るだけ低い声で)」っと言い放ちましょう。2、3キロだったら、ひっくり返せるでしょ?

こうして、あなたと犬との正しい上下関係を作って、もっともっとゆかいな犬との生活をエンジョイしましょう!

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